東西の科学的思想
 
西洋の科学の根本は自然の原理を方程式として捉え利用することです。これにより判明した事実によって急速な科学文明の発達をみました。高度な科学文明を使って自然を切り開き、とても早いスピードで近代科学文明社会へと変化させます。
 
対して東洋科学の根本は自然との共存であり、長く繁栄を保つためには自然の原理に逆らわず、変わらないこと、変えないことを重視しました。
 
西洋的思考は今あるものを奪い、利用して自分たちに都合の良い形に周りを変えて進化し続けることを良しとし、東洋的思想は一定の満足を得られたらそれを維持することを良しとします。 諸行無常。すべてのものは変わることを運命づけられているからこそ、大切なものはその変化を出来る限り遅くすることが永遠を手に入れようとした時代の権力者達が考えた生き方なのです。
 
これは、食料もエネルギーも水も時間も体力も若さも命も全てが有限であるが故に、奪い続け進化し続けることが最終的に早期の滅びをもたらすという考え方です。
進化ではなく変化しながら繁栄を維持する。それが陰陽論に代表されるバランスであり、東洋医学のもつ全体観に繋がります。
何かを得たら何かを返し、奪い過ぎず与えすぎず、自分の健康と命、財産、幸せなどを守ろうとしているのです。
 
大切なものは自身が変化することで維持して守る。そのための手法が東洋医学にはあるのです。